効果・作用
メシル酸フェントラミン(phentolamine-mesilate)は、交感神経拮抗薬という作用を持つED治療薬です。
海綿体への血流を低下させるアドレナリン反射を防止する事で、海綿体への血流を改善し、勃起を促進します。
アドレナリン反射とは、生命の危険やストレスを強く感じると、アドレナリンが放出されます。すると危険回避のために、心臓や筋肉の血管を拡張させ血流を集中させる事で、体を動かしやすい状態にします。その他の部位は血管が収縮されるために、男性器などの血流は低下してしまいます。
これがEDの原因となるため、メシル酸フェントラミンが交感神経のアドレナリンα受容体をブロックする事でアドレナリンを抑え、EDを改善します。
主に心因性EDの改善に用いられます。
▼アドレナリン反射によるEDの仕組み
男性器の陰茎海綿体に血液が流れ込む事によって、ペニスが硬くなり勃起します。しかし、アドレナリン反射によって、EDを起こす場合があります。加齢によって起こりやすくなります。アドレナリンは動物の防衛本能の一つです。生命の危機、極度の緊張により、ストレスホルモンのアドレナリン、コルリゾールを大量に放出し、その危機に備えるように体ができています。
アドレナリンが放出されると、主要器官、心臓や筋肉の血流が増加し、血糖値、血圧も上がります。スポーツにおいてもパフォーマンスがよくなり、セックスでも興奮が高まるものです。
しかし過剰にストレスをうけてしまうと、血流が主要な部分だけに絞られ、逆に運動に重要でない末端器官、皮膚や指先、内臓器官などの血流は下がってしまうのです。逆に運動に重要でない末端器官、皮膚や指先、内臓器官などの血流は下がってしまうのです。そしてペニスもそのうちの一つになり、過剰なストレスや緊張で血流、皮膚温度も低下する事で感覚が鈍る事でEDになってしまいます。
心因性のEDはこのアドレナリン反射によるものです。緊張する相手や場面では、この現象が起こりやすいのです。人間の体の自律神経に主に交換神経と副交感神経があり、交感神経は緊張や興奮で活発になり、副交感神経はリラックスしている時に活発化する事で、体の健康を保っています。このアドレナリン反射は交感神経が優位になっている状態で起こる為、メシル酸フェントラミンはその中のアドレナリンを阻害する事でEDを治療する薬であるので、交感神経拮抗薬と呼ばれています。
年を重ねると仕事のストレスなどでこのアドレナリン反射が起こりやすく、勃起力が弱くなり、早漏になってしまったりと、EDになりやすくなります。そしてEDによるセックス失敗へのストレスにより、その不安などで更にアドレナリン反射が起こり、より勃起できなくなってしまいます。
▼メシル酸フェントラミンの効果持続時間
約5時間〜7時間程度
▼メシル酸フェントラミンの作用開始・効果のピーク
服用後、胃や腸の粘膜から吸収され15分程度で効きはじめます。約60分後程度に効果のピークを迎えます。ピーク後、緩やかに効果が下がっていきます。
【メシル酸フェントラミンの効果・作用まとめ】
@メシル酸フェントラミンが、アドレナリン反射を抑制し、勃起を促進させる
Aアドレナリンが放出されるとペニスを含む末端器官への血流を抑えてしまう事でEDの症状が出る
Bメシル酸フェントラミンがアドレナリンを阻害する働きをする事でEDの症状を改善させる
C服用後15分程度で効果が出始める為、即効性に長けている
Dストレスや緊張による心因性EDの症状に向いている
E加齢によるEDは心因性EDの比率が高くなる
Fメシル酸フェントラミンは主に心因性EDの治療薬となるため、交感神経拮抗薬と呼ばれる
Gバイアグラなどと違う作用でED治療を行うため、一般的なED治療薬で効果が出ない場合に用いる事が可能
使用方法
メシル酸フェントラミンは【40r】の成分量になります。国内ではまだ認可が降りていない薬になります。
錠剤なので、ピルカッターをご使用頂きカットする事で成分量の調整が可能です。性行為の30分ほど前、空腹時に服用する事で効果が発揮されます。服用後15分ほどで効果が出始めます。
メシル酸フェントラミンの1日の服用量の上限としましては、成分量は80rまでになっています。
メシル酸フェントラミンは服用後5時間〜7時間ほどの効果持続時間があります。多量の服用は健康を損なう危険性がありますので、次の服用は24時間空けて服用するようにしてください。
ED治療薬全般に言える事ですが、胃の内容物に含まれる油分が胃や腸の粘膜へ油膜を張ってしまうと成分の吸収率が悪くなってしまいますので、脂物をとった後はしばらく使用しない方がよいかもしれません。吸収率が過度に悪くなると、効果が出るのが遅くなったり、その効果自体が消えてしまう場合があります。
メシル酸フェントラミンの錠剤は、水で服用する事を前提として開発されています。特に牛乳やグレープフルーツジュースで飲むと、効果を弱めたり強めてしまいます。牛乳は、多くの脂肪分が含まれている為、吸収率が低下し効果を弱らせたり失わせたりします。グレープフルーツは、肝臓でメシル酸フェントラミンの代謝が遅れてしまう為、効果や副作用を強めてしまう可能性があります。副作用の危険性を高めたり効かなくなってしまう場合がある為、必ずお水で服用する様にしましょう。
デートの状況によっては、食事をしなければならない場面も多いと思います。メシル酸フェントラミンは食事の影響を受けづらくはなっていますが、最も効果を発揮する空腹時に近づけるには食後にメシル酸フェントラミンを服用するまでの時間を2時間空けると、胃の中の食べ物が消化吸収された後になるので、食後であってもより吸収率の影響を抑える事が可能です。しかし、胃の中に内容物がない状態が理想なのは変わりません。食事をする際には、脂っこい食べ物を避け、腹7、8分くらいに抑えておいた方がよいでしょう。食事をする約3時間前の空腹時に服用する事で、予めメシル酸フェントラミンを吸収させて食事の影響を受けなくする事も可能です。
また、多少のアルコールは問題ありませんが、多量のアルコールを摂取した場合、脳が性的興奮を感じにくくなってしまいます。どんなにメシル酸フェントラミンの効果によって勃起しやすい状態を整えても、性的興奮が起こらなければ勃起はしません。くれぐれもお酒の飲み過ぎには注意しましょう。
【メシル酸フェントラミンの効果・作用まとめ】
・性行為の約15分〜30分前に服用する
・お水で飲む
・メシル酸フェントラミンは食事の影響を受けづらいですが、過度の摂取は控える
・食事をする場合は脂質の多い物は避け、軽めにする
・アルコールも控えめにする
・メシル酸フェントラミンの服用は1日1回で、最大服用量は80rまで
・服用間隔は24時間以上あける
メシル酸フェントラミンは正しい飲み方をしないと効果が弱ったり、効かなくなってしまいます。メシル酸フェントラミンを飲んだけど効かなかったと言う方は、一度正しい飲み方をしているかチェックしてみましょう。
副作用
■メシル酸フェントラミンの副作用
【循環器】急激な血圧低下によるショック症状/頻脈/心拍数減少/不整脈/胸内苦悶/狭心症様発作/心筋/梗塞/起立性低血圧/鼻閉/皮膚潮紅など
【過敏症】過敏症状
【精神神経系】熱感/頭痛/めまい/脱力感/背痛/発汗など
【消化器】悪心/嘔吐/下痢など
▼高齢者への投与
一般的に高齢者に関しては、生理機能が低下している可能性がある為、減量するなど注意する。
■過剰投与による症状
・血圧低下
・反射性頻
・心刺激
・不整脈
・全身静脈容量の増加でショックがみられることがある。
・頭痛
・過興奮
・視力障害
・発汗
・胃運動性の増大、
・嘔吐、下痢、低血糖がみられることもある。
▼処置
・低血圧、過剰な末梢血管拡張には拮抗剤であるノルアドレナリンを点滴静注します。ノルアドレナリン投与に際しては、フェントラミンの作用時間が短いので、適切な調整が必要です。
・昇圧剤の使用時に不整脈が発現することがある為、心電図によるモニターが必要です。また、両下肢の挙上や血漿増量剤の投与等の方法も同時に行います。アドレナリンを使用してはいけません。
・過剰な心刺激、高血圧発作にはβ遮断剤を静注します。
・心リズム障害には、不整脈に応じた治療を行います。
・低血糖には、効果がみられるまでグルコースを静注します。
メシル酸フェントラミンには、副作用が起こる可能性があります。
メシル酸フェントラミンを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。軽い副作用を含めると、メシル酸フェントラミン服用者の多くが、何らかの副作用を感じています。また軽い副作用は、メシル酸フェントラミンが効き始めた合図でもあります。
「メシル酸フェントラミンの副作用が現れた=メシル酸フェントラミンの効果が現れた」
メシル酸フェントラミンは男性器の血流を良くすることで勃起不全を改善しますが、もちろん男性器だけでなく、体中の血流も良くなります。それにより、顔面のほてり、頭痛、めまい、鼻みず、鼻づまり、腹痛、消化不良、腰背痛、筋肉痛、などの症状が出る可能性もあります。殆どの場合は、薬の効果が切れる頃には症状も収まる軽い副作用でしょう。どうしても頭痛が気になる場合は、市販のロキソニンやバファリンやイブといった頭痛薬も併用可能です。
副作用の出方は、個人差や服用量によっても違ってきます。メシル酸フェントラミンは、医師や薬剤師に指示された、用法・用量を守っていれば安全に使用出来るお薬です。例えば20mgを服用してみて、副作用が気になるようでしたら、医師に相談し10mgに変えたりと、飲む量を調整する事でも改善可能です。
■メシル酸フェントラミン副作用(重度)
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
▼急激な血圧低下
同様の血管拡張作用を持つ硝酸薬などを使用した場合や、メシル酸フェントラミンの過剰摂取で血圧が通常よりも下がりすぎてしまった場合、命を脅かす危険を招く場合があります。
▼勃起持続症(プリアピズム)
一度もおさまること無く4時間以上勃起が続くと、痛みがではじめ陰茎が損傷してしまいます。勃起が収まらない場合は、早急な病院の受診が必要です。こちらもメシル酸フェントラミンの過剰摂取が引金となる場合が御座いますので、ご注意下さい。
▼アナフィラキシーショック
メシル酸フェントラミンの添加物に対してアレルギー反応を起こした場合、大変危険です。気持ち悪い、冷や汗、顔面蒼白、手足の冷え、手足の痺れ、じんましん、全身発赤、顔の腫れ、喉の腫れ、呼吸困難、目眩、血圧低下、意識が遠のくなど
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
【メシル酸フェントラミンの副作用まとめ】
・服用者の多くの方に軽い副作用
・副作用の出現がメシル酸フェントラミンが効きはじめた合図
・頭痛は市販の頭痛薬で抑えられる
・内容量の調整で副作用を抑える調整が可能
・異変を感じたら直ぐに医師の診察を受ける
副作用が発生した=メシル酸フェントラミンの効果が現れた合図にもなります。
正しく使えば、メシル酸フェントラミンは安全な医薬品ですが、使い方を間違えると重篤な副作用を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
使用に注意
■メシル酸フェントラミンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
■硝酸剤や一酸化窒素(NO)供与剤と使用中の方
狭心症や不整脈のお薬と、メシル酸フェントラミンを絶対に併用しないで下さい。メシル酸フェントラミンの作用によって血管を拡張するため、血圧が低下します。
そこへ、更に血圧を低下させる作用のあるお薬を飲んでしまうと、血圧が下がり過ぎてしまい大変危険です。血圧が低下しすぎると全身へ血液が流なくなってしまう恐れがあり、脳への血液不足では失神などが起こり、心臓への血液不足などで死亡事故も起こっています。
詳しい医薬品名に関しては、下記併用禁忌薬をご確認下さい。
■性行為を行うだけの体力が無い方(医師から止められている方)
高齢や心疾患などを既に患っていて、医師に性行為自体を止められている方、医師にメシル酸フェントラミンの服用を禁止されている方は、服用出来ません。
■半年以内に心筋梗塞や脳梗塞・脳出血の既往歴がある方
半年以内に心筋梗塞や脳梗塞・脳出血を患っている方は、メシル酸フェントラミンを服用できません。
■重度の肝機能障害の方
メシル酸フェントラミンは肝臓で代謝される為、肝機能障害で正常にメシル酸フェントラミンが代謝されない場合、排出に時間がかかったり、通常以上の血中濃度になってしまう恐れがある為です。
通常以上にメシル酸フェントラミンの血中濃度が高まってしまうと、効果や副作用が強く出てしまう恐れがあります。
■低血圧の方又は、高血圧の治療をおこなって血圧のコントロールがされていない方
メシル酸フェントラミンの臨床データがない為、低血圧(最大血圧90mmHg未満または最小血圧が50mmHg未満)又は血圧のコントロールをされていない高血圧(安静時収縮期血圧170mmHg以上、又は最小血圧が100mmHg以上)の方は、安全性の確認が取れていない状態なので、メシル酸フェントラミンの使用が禁止されています。
■網膜色質変性症(進行性の夜盲症)の方
メシル酸フェントラミンを服用すると、網膜色質変性症を悪化させる恐れがある為、メシル酸フェントラミンの服用が禁止されています。
【メシル酸フェントラミンの使用に注意が必要な方、使用が出来ない方まとめ】
・メシル酸フェントラミンや医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
・硝酸剤など併用禁忌薬を使用中の方
・性行為を止められている方
・半年以内に心筋梗塞・脳梗塞・脳出血の既往歴がある方
・重度の肝機能障害の方
・低血圧の方
・高血圧で血圧コントロールをされていない方
・網膜色素変性症の方
上記にあてはまる方は、メシル酸フェントラミンを使用する事が出来ない可能性があります。メシル酸フェントラミンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
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