経口中絶薬RU486のご使用前に必ずお読みください
経口中絶薬、いわゆる、RU486はフランスで1980年開発され、1988年より発売されている薬、が本年2000年欧州連合(EU)11か国で解禁される。多くのEU加盟国で中絶反対の立場を取る、カトリック、右派勢力から、社民、左派陣営に権力の移譲が進んだことが間接的原因と考えられる。この薬は妊娠を維持する黄体ホルモンに拮抗する作用を持ち、妊娠49日以内であれば服用することにより自然流産と同じような経過をたどり、子宮収縮剤のプロスタグランディンを併用すれば100パーセント近く人工流産(中絶)が可能である。しかしあまりに安易に中絶できてしまうためカトリック勢力や右派の反発を買い、当初の販売元だった、ドイツのHMR(ヘキストマリオンルセル)社は販路を英国やスウェーデンに広げたものの、猛烈な同社ボイコットや不買運動が拡大し、97年この薬から撤退、販売権は開発者の設立したフランスのエクセルジン社に移譲された。1998年ころより左派政権がEUで覇権を握るようになると、ドイツ、ベルギーなど8国で同薬が認可さた。現在の使用の承認されている国は、フランス、英国、スウェーデン、イスラエル、ロシア、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、デンマーク、フィンランド、ギィリシャそして2000年2月7日にスペインで解禁された。ところがアメリカのFDAは2月19日承認を延期する旨発表した。この背景にはAbortion Violenceという中絶反対派の産婦人科医院や患者へのテロが日常茶飯事に起こっていることも無関係ではあるまい。Yahooでabortionを検索すると、abortionそのものよりもabortion violenceの方が多くヒットするのでびっくりしたことがあるくらいである。 経口妊娠中絶薬については、これまでは少量であれば厚生労働省での手続きが無くても個人で輸入できていた取扱いを改め、原則として、医師の処方に基づくことが地方厚生局で確認できた場合に限って輸入が可能となるよう、個人輸入を制限することとしました。
さてわが国での承認の可能性はいかがであろうか?おそらく数年は承認されないであろう。理由は2つ考えられる、まず表向きの理由として副作用や失敗したときの胎児の重度奇形や出血が危険だといって厚生省や産婦人科医会が反対するであろうが本音は、中絶手術という産婦人科医の聖域を侵され、中絶手術減少による収入減を危惧するため反対するであろうことは容易に推察できる。もうひとつは、この薬はバイアグラなどと違って高価な薬でないため製薬会社は論議や反対を承知で開発、治験、販売する意味がないと考えているようである。その証拠に日本のどの製薬会社も承認申請をだしていないと厚生省もコメントしている。 |