日本人の3大死因の一つ、「脳卒中」が起きやすい寒い季節となった。だが、生活スタイルに注意を払えば、予防はかなり可能だ。家庭でできる予防法.
◆発症率を下げる
厚生労働省の人口動態調査によると、平成21年の脳卒中による死亡者数は12万2千人で、がん(約34万4千人)、心臓病(約18万人)に次ぐ死因3位だ。
「脳卒中の大部分は血管がもろくなることで起きる。高血圧や糖尿病、高コレステロールなどに気を付けて生活すれば発症リスクを下げられる」と中山院長は指摘する。具体的には、塩分は1日10グラム、飲酒は日本酒換算で1日1合まで▽1日30分、2日に1回なら1時間のウオーキングを行う▽禁煙する−など。たばこについては、「禁煙すると5年で発症率は劇的に下がる。『今さらやめても仕方ない』と考えてはいけない」と訴えた。
急激な温度変化も血圧に悪影響を与えるため、禁物だ。例えば、入浴の際には、事前に脱衣場や浴室を暖める▽湯温は41度前後▽湯船につかるのは15分まで−などに気を配るべきだという。
◆様子見は危険
万一の発症に備え、家庭でできることはあるのか。
「本人と家族が脳卒中の前兆や症状を知り、気付いたらすぐに救急車を呼ぶ心構えが大切」と話す。前兆や症状には「片側の手足や顔半分のまひ」「ろれつが回らない」「相手の言葉が理解できない」「バットで殴られたような頭痛」−などがある。前兆の場合は10分〜1時間程度で収まるが、「疲れている」「様子を見よう」と、そのままにしておいては危険だという。「『近所に迷惑や心配をかける』などと救急車を呼ぶのをためらう人もいるが、おかしいと思ったらすぐに119番。『明日でいいか』では取り返しがつかなくなる」
判断に迷った場合や救急車を呼ぶのがためらわれる場合は、救急相談センター(#7119)に相談し、判断を仰ぐ方法もある。独り暮らしの場合は、固定電話や携帯電話に119番を短縮ダイヤルに設定しておくことが有効。 |