人間の体には目、鼻、耳、口、尿道口、肛門と、9つの孔があいていますが、常に孔が開いており外界の空気を取り込んでいるのは、鼻の孔だけです(女性には膣口という10番目の孔がありますが、ここは乳酸菌によって清浄に保たれているのでカウントしません)。
鼻は外の空気を吸い込み、それを肺の奥のまで運び、血液とガスを交換し、体内の炭酸ガスを排出しています。そのため空気中の花粉や細菌なども取り込みやすくなっています。鼻が1回あたりに取り込む空気の量を500mlとすると、一日に約4畳分の部屋の空気を吸い込んでいることになり、いかに鼻が体の中でも汚れやすく、ここを洗うことが効果的かについて分かると思います。
実際は右上のイラストの鼻咽喉とよばれるところに水が達するように水を入れていきます。具体的には鼻咽喉は口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の少し上という感覚でいればいいでしょう。
こんな人は気をつけて!
鼻うがいは鼻に水を入れるため、基本的に顔を上に向けて行います。以下のような人は、万が一「鼻うがい」をしている最中に転倒したりする恐れがありますから、椅子に座るなど無理をせずに安全にできる範囲で行ってください。
1. 首に問題のある人(頚椎の変形など)2. 脳貧血をおこしやすい人3. 肥満の方や妊娠されていておなかが大きく後ろにそるのが困難な人
こんなことにも!「鼻うがい」の効果
この鼻咽喉を食塩水で洗うという「鼻うがい」は、東京医科歯科大学の堀口申作名誉教授が始めたといわれる治療法です。
もともとこの鼻咽喉という部分は、お母さんのおなかの中にいるときは無菌状態なのですが、生まれるとすぐにさまざまな細菌がつきます。その細菌のついている状態が悪化すると、感冒(風邪)や頭痛、肩こり、発熱などの健康被害をひきおこします。「鼻うがい」はここを洗うわけですから、花粉症以外のことにも改善が見られるという結果が出ています。
例えば効果のある症状にアレルギー性鼻炎、蓄膿症、口内炎、舌痛症、アレルギー性結膜炎、頭痛、ニキビ、アトピー性皮膚炎、じんましん、喘息、リウマチなどが挙げられます。