腰痛
腰は重い上半身を一手に支える、まさに「要」の部分であり、それだけにトラブルが起きやすいと言えます。腰痛のうち、何らかの検査をしても原因が分からないものを、「腰痛症」と呼んでいます。長年、重いものを持ったり、腰を曲げたりする仕事などで腰に負担をかけてきた人、運動不足の人などに多く見られます。ちなみに、ぎっくり腰は急性の腰痛症のことを言います。 一方、腰痛は椎間板ヘルニアや骨粗しょう症などの骨の病気、腎臓や子宮の病気で起こることがあります。いつまでも痛みが和らがない場合、病院で診てもらうことをおすすめします。
腰痛に漢方で対処する
漢方では腰のトラブルは、「腎」の働きの低下(「腎虚(じんきょ)」)や、「血(けつ)」や「水(すい)」の滞り、冷えなどと関係していると考えられています。腎は腎臓のことだけではなく、泌尿器や生殖器の機能なども含めた働きを指します。また血は血液とその働き、水は体液など血液以外の水分を示しています。 そしてこの腎や血、水に問題があると腰痛が起きることがあるため、腎や血、水の状態をよくする漢方薬を用いて、症状を改善していきます。年配の方は、夜中の頻尿、排尿困難、冷え、下肢の痛みなどを伴うことから、腎虚が原因で腰痛が起きると考えられ、腎虚を改善する八味地黄丸や牛車腎気丸などが用いられることが多いようです。 一方、女性に多いのは「お血」による腰痛。冷えや生理に伴うトラブル(痛みや不快症状、不順など)を併せ持っている場合がよく見られます。そのためお血をとる桃核承気湯等を用いて治療を進めていきます。
さらに、ぎっくり腰などの急性の腰痛には、筋肉の緊張をとるとされる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)でよい効果が得られることがあります。 |