例年流行する季節性インフルエンザと、新型インフルエンザの健康への影響をモデルとして示したものです。
過去のスペインインフルエンザなどの例で現れたように、新型の場合は、免疫を持たない人が多いため、感染する人も、全体数が多くなります。
その中には、無症状、軽症から中程度ですむ人も多くいますが、一部は重症となり死亡するケースもでてきます。
オランダの研究グループによりますと、死亡率は、季節性インフルエンザが、0.1パーセントかそれ以下とされているのに対して、新型インフルエンザの場合は、0.5パーセント程度と、高いという調査をまとめています。
重症化しやすいハイリスクの人,新型インフルエンザは、糖尿病や腎臓病、それに幼い子供や妊婦などが、ハイリスクとして重症しやすいということが知られています。
新型インフルエンザで、今月15日から、きょうにかけて死亡した3人の場合も、糖尿病や腎臓病、多発性骨髄腫など免疫機能が低下しやすい病気がありました。
行政がとるべき対応,ハイリスクの人は、新型インフルエンザにかかった場合、重症化して肺炎を引き起こす可能性があることから、重症患者のためのベッドや人工呼吸器の確保しておく必要があります。
国と自治体は、今後、新型インフルエンザが大きい流行になったときに、患者がどのくらい発生する可能性があるのか、そのうちどのくらいが重症化するのか、きちんと想定した計画をたて、今のうちから、医療体制の整備をすすめておくべきだと思います。
ハイリスクの人たちへの対応,また慢性病で、ハイリスクといわれる人が、直ちに重症化に結びつくわけではありません。例えば、糖尿病の場合、血糖管理などが、適切に行われている人は、一般の人が新型インフルエンザにかかる場合と大きな差があるわけではありません。
ハイリスクの人は、日常から健康状態のコントロールに注意すること、新型インフルエンザの疑いがあるときには、早期に対応して重症化を防ぐよう、主治医と相談できるように備えておくことが大事だと思います。
糖尿病の専門医などでつくる「日本糖尿病協会」は、糖尿病があっても治療を受けていない人、血糖管理が悪い人は、インフルエンザにかかると血糖値が大きく変動したり、脱水状態になったりして重症化しやすいことから、新型インフルエンザが疑われる場合は、その診断・治療だけではなく、血糖値などを検査して、状態を把握し、早期に対応することをすすめています。
また、人工透析を受けている患者も、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすいため、注意が必要です。人工透析を行っている、日本透析医会などでつくる団体は、新型インフルエンザが流行している時期には、施設に、患者が入室するときに、手洗いをしてもらい、飛沫の飛散防止のためにマスクを着用することをすすめています。
また、患者の間での感染を防止するため、ベッドの間隔を開け、感染者と、感染していない人の滞在時間をずらすことを求めています。
また、人工透析をうけている患者に対しては、健康管理に注意し、感染症が流行しているところや人混みに出ないことをすすめ、自宅で高熱が出たときなどはかかりつけの透析施設に電話をして指示をうけることをすすめています。
また病気ではありませんが、妊婦の場合も、胎児を異物と認識しないよう免疫機能を抑制していることから、感染症に対する注意が必要です。
日本産科婦人科学会では、妊娠している女性が、高熱や咳など、新型インフルエンザが疑われる症状が出た場合は、妊婦から妊婦への感染防止をはかるため、かかりつけの産婦人科医を直接受診することは極力避け、地域の一般病院にあらかじめ電話をして、受診することをすすめています。
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