漢方薬の処方「冷え性」

特に多くの女性たちが冷えに悩んでいるにもかかわらず、不思議なことに西洋医学は「冷え性」という病名はありません。

したがって冷え性に効く薬も存在しないため、冷え性は、漢方薬の効果が非常に期待される領域といえるでしょう。

「冷え性」とひとくに言ってもその症状はさまざまで、下半身が冷えるのに顔はほてっている、背中や腰に冷えを感じる、などです。

冷え性の原因もこれといって特定できないのが現状です。

貧血や血の滞り、体内の水分が偏っている状態、自律神経失調症などが冷えの原因となります。

いずれの症状であれ、その人に合った漢方薬を選ぶことが症状の改善に最も重要となります。

例えば、色白で水太りの傾向があり、体力がない人で、貧血気味、水毒のある人、また女性なら月経異常がある場合は「当帰芍薬散（トウキシャクヤクサン）」が用いられます。

また、下半身だけが冷え、上半身には冷えを感じない、あるいは逆にのぼせるという人には、「桂枝茯苓丸（ケイシブクリョウガン）」や「五積散（ゴシャクサン）」といった漢方薬が用いられます。

また、手足の先だけが冷えると場合の冷え性には、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯（トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ）」という漢方薬が用いられ、頭痛や肩こり、腰痛、といった症状に有効で、体力のない虚証タイプの人に用いられます。

一方、老化に伴う冷えもありますが、このような冷えに対しては、「八味丸（ハチミガン）」が効果があるとされます。