知柏地黄丸(チバクジオウガン)は、日本でもよく知られている「六味地黄丸」に知母と黄柏を加えた処方です。
知柏地黄丸は、漢方の古典・医宗金鑑に収載された知柏地黄丸に準拠して製造された丸剤です。中高年になって、体がだるく、あるいは腰痛が起こるなどして下半身のおとろえを感じ、また顔がほてる、あるいはのぼせて口のかわきを覚えながら、時に手足が冷たく感じるとか、トイレが近い、といったことが起こることがあります。これらは中医学で陰虚火旺の症状といって、体の中の潤いをもたらす体液(陰液)が不足(虚)し、体の器官の働きがいわばオーバーヒートした状態(火旺)になっていることから起こる症状とみなします。これは若い人でも過労などで体力・気力を過酷に消耗したあとにもみられる状態です。知柏地黄丸は六味地黄丸に、神経系の興奮をおさえるとされる知母(ハナスゲの根茎)と黄柏(キハダの樹皮)を加えた漢方薬です。
知柏地黄丸は、「疲れやすい」「排尿困難」「むくみ」といった、高齢者によく見られる症状に効き目がある六味地黄丸に、清熱作用に優れ、身体を潤す作用がある知母(ちも)と、腎の衰えからくる身体内部の熱を静める黄柏(おうばく)を配合しています。計8つの配合生薬により、腎の精を補って、陰液を増やすことで、こうした症状に効き目を発揮します。
倦怠疲労感、尿もれ・頻尿・残尿感、口渇、むくみ、腰痛、手足の冷感、手足のしびれの改善に効果がある漢方薬です。